天井が僕から離れていく

幼い頃、たぶん小学校に上がる少し前。両親と同じ部屋で寝ていた。
両親が同じ部屋にいるのになぜか孤独を感じた。
よくわからない感覚で、その怖さを伝えるすべを持たなかった少年は「暑い」とだけ言って泣き叫んだ。





小学生になった頃だろうか。
2段ベッドで寝るようになった。下は兄、上には自分が
2段ベッドの上からは天井が近い。近かった。
なのにある日の夜、眠れずに天井を見つめているとどんどんと遠くなっていった。どこまでも遠くに。
相対的に自分が小さくなっていく気分。まるで広い宇宙に1人放り出されたような。

あの時の感覚と同じだ、そう思った。







今、私は車の後部座席に乗っている。家族で夕食を食べた帰り道。車には両親と2人の兄、そして私。
外は雨、今日は日曜日。窓におでこをつける。あの時の感覚だ。
満たされない。
でも不足はない。明日がくる。
雨と闇で何も見えない。