unkoⅡ
■半分
5月ももう終わりが近づいてきている。2020年としてみてもおおよそ半分ぐらいのところまで来たわけです。
月並みな言葉だが、時間の流れははやい。あっという間だ。
2020年が始まったとき、まさか世界がこのようになっているとは夢にも思わなかった。
これも月並みな言葉だが、まじで予想だにしなかった状況というか。
こういう言い方をしていいのかはわからないが、ウィルスってすげえななんて思ったりして
去年の12月?11月?ごろに中国の武漢で謎の肺炎が広がってるなんて話を聞いたときから半年も経たずに国境を越え海を越え世界中に広まってしまった。
ちょっと不思議な気分さえする。
まあそんなこんなで世界に甚大な被害、影響をもたらしているわけですが、私が好きな娯楽もその例外ではなく影響を受けている。
行こうとしていたライブは軒並み中止あるいは延期になり、映画の公開も延期されている。ゲームもだ。(ラストオブアス2...)
これからは音源の発売、リリースにも影響が出てくるでしょう。レコーディングもままならないでしょうし、流通の事情もあるでしょう
それでも2020年は今の時点で既にめちゃくちゃ良作、佳作、傑作といってもよい作品が数多くリリースされている。
1年が終わってからまとめてもよいのだけれど、すでに作品が溢れすぎているので、
上半期のまとめ、雑感的なものをここに書いておきたい。
今年は作品の質云々の前に、まず名前を聞いただけで無条件に期待してしまうようなミュージシャンの作品が多くリリースされたように思う。
King KruleにThundercat、Moses Sumneyとか、リリース前から期待しちゃうようなメンツだ。
つーわけで早速よかったアルバムを列挙していきます。順不同です
New Me, Same Us / Little Dragon
プロの中のプロ、ミュージシャンが尊敬するミュージシャン、Little Dragon
昨年発売されたFlying Lotusのアルバムでもフィーチャーされてたけど、この人たちは本当に各方面から引っ張りだこ。キャッチ―なエレクトロニカに唯一無二のYukimi Naganoの声。何度も繰り返し聴いていられる。
It Is What It Is / Thundercat
傑作Drunkのリリースから3年も経っていたのか。まずそこに驚き。ついこの間みたいに思う。
Thundercatといえば6弦ベースから生み出される超絶テクと美しいファルセットというイメージなんだけれども、今まではちょっと過剰な部分も少なからずあったと思うんですよね(それも含めてよかったといえばそうなんだけれど)。
でも今作はより内省的な内容で、音そのものもいろんなものをそぎ落としたようなよりシンプルな形でめちゃくちゃ良かった。引き算の美学というか、シンプルだからこそ彼が持っている技術であったり個性がさらに引き立つというか。
内省的なのはMac Millerの死の影響も大きいんだろうな。
とにかく名盤といってもよいのではないかと思う。
ブラクラ / 挫・人間
えー、挫・人間です。ブラウザクラッシャー。ソモサン・セッパ。どこまでもイかれてるけど、どこまでも誠実だと思う。
もうMVからして本当にやばかったんだけど、不思議と最後にはジンとくる何かがあるんだなこれが。
卑屈さを残しながらもどんどん開かれていく挫・人間。変わっていくものと変わらないものがあって、良い塩梅で進んできている。
ベースのアベマコトさんが脱退するということでめちゃくちゃ寂しいというか哀しいんだけれども、これからも挫・人間は挫・人間らしく活動を続けてほしいな
What Kinda Music / Tom Misch & Yussef Dayes
これもまた凄まじかった。Tom Mischって洗練されててオシャレでそして確かな技術と才能を持ってるという天才ミュージシャンなわけですが、今作はジャズドラマーYussef Dayesとの共作で今までよりもダークな仕上がりで個人的にめちゃくちゃ良かった。
ちょっと暗くて派手さはないはずなのに、一聴しただけでガツンとくる。それでいて深みが凄い。
græ / Moses Sumney
彼の曲を聴いているとなにか神聖なものに触れているような気分になる。タイトルはgræ。読み方はグレー。白と黒、そのどちらでもない中間であいまいで不明瞭な色。æはeにもaにもなる。世の中の物事は決して白黒分けられるわけではなく、より複雑なグラデーションでできている。
それにしてもMoses Sumneyの曲は本当に強度が高いというか、骨格がしっかりしてるというか。高いソングライティングがあるうえでそこに肉付けがあるから、ブレがない。
これから先も素晴らしい音楽をどんどん生み出してくれそうな期待感がある。
Heaven To A Tortured Mind / Yves Tumor
かっこいい。Yves Tumorって結構実験的な音楽を作ってきた人だというイメージなんだけど、今作は結構”ロック”って感じのギターが鳴っててそれがとんでもなくかっこいい。
そういえば最近めっきりロック然とした音楽を聴かなくなったけど、やっぱりロックってかっこいいよねっていう再認識。でも当然Yves Tumorなので超独特で彼にしか作れない異彩を放つ音楽。天才
Miss Anthropocene / Grimes
イーロンマスクの恋人。最近生まれた第一子に「X Æ A-12」という名前を付けたらしい。狂ってんのかよ。
(その後、この名前が州の法律に抵触している疑惑が出たため「X Æ A-Xii」にしたらしいです。狂ってんry)
あのテスラのイーロンマスクとグライムスが付き合ってるというだけでなんか面白いんですが、音楽性も期待を裏切らない。妖精みたいな見た目と歌声で音はインダストリアルでダーク。めっちゃ好み。無機質で重い音の上に綺麗な声がのるのはやっぱずるいわ。
Man Alive! / King Krule
いやーついにきちゃったね。King Kruleの新作。Thundercatもそうだったけどこちらも前作のリリースから3年が経っていたのか。世界中が期待していたんではないでしょうか。
前作のThe Oozはサウスロンドの荒涼とした情景、悲痛さや苦悩、怒りなどに溢れた大傑作だったわけですが、今作はより怒りの割合が多くなった気がする。がなりたてながら歌う様がよりロックミュージシャンっぽい。
音楽的な素養とかポストパンクやジャズ、ヒップホップ的な要素、すべてを高い次元で自分の音楽に帰結させながら、最後に”かっこいい”という単純な真理にいきつく。
King Kruleについて語るならいくらでも切り口は存在すると思うんだけど、結局ただただかっこいいんだよね。
まだ25歳、これからもまだまだ彼の新しい音楽が聴けると思うと嬉しくなる。日本に来ねえかな。
と、いうわけでとりあえず今年リリースされた作品で特によかった8作品を挙げてみました。他にもなんかあったような気がするな
これからもYellow DaysとかPhoebe Bridgers(来日公演がなくなっちゃった...)、Bibio、Kelly Lee Owensの新譜が控えてるのでまだまだやばい。
2020年、凄まじい。