年間ベストアルバム TOP27【2018】

皆さんいかがお過ごしでしょうか。ぐっと気温も下がり、真冬の様相を呈しています。
寒くて朝起きられませんね。学校行きたくありませんね。仕事行きたくありませんね。ずっと布団の中に潜っていたいよ。




はい、そんな時は自分なりの年間ベストアルバムを選びましょう!(唐突)




今年も大体のアルバムが出揃ったので、年間のベストアルバムを決めても良い頃でしょう。

ということで、今現在リリースされている作品の中から25枚(最初は25枚で選んだものの後から良いアルバムが出てきたため最終的に27枚)のアルバムを選出しました。

今年は飛び抜けて良いアルバムが生まれたというよりは、佳作、良作が多く生まれたという印象です。

多くの作品が横並びになっているので、27枚選ぶのも苦労しましたが早速紹介していきましょう。


27. Brainfeeder X / Various Artists

Brainfeeder設立10周年を記念したコンピアルバム。他のレーベルでは出せない個性的な面々のサウンドが1つのアルバムになった全36曲のボリューム感たっぷりの一作。
彼らのベクトルの違う個性的な音をよく1つのアルバムに違和感なく収めたな、と思う一方で少し収まりが良すぎる気も
ディスクは2枚組となっており、ディスク2の方が未発表の音源などが入っていて遊びがある。
Brainfeederのレベルの高さがうかがえる一作。



26. CHVRCHES / Love is Dead

まず間違いない。グラスゴーが生んだ3人組エレクトロポップユニットCHVRCHES
前2作よりもさらにポップになった印象。
それでも決して音が軽くなることもなく、今までのCHVRCHESの良さを残したまま、さらに受け皿が広くなったという感じ。
ファーストトラックのGraffitiとトラック6のNever Say Dieが特に好きです



25. Starchild & The New Romantic / Language

現代のPriceとも呼ばれるマルチプレイヤー。Blood Orangeと仕事をしたりSolangeのライブでサポートをやったりとプロからも認められる確かな才能。
古臭い未来感が個人的にとても好み。ファンクやジャズ、ソウルなどの多様なジャンルの音楽をしっかりと自分のものにしたデビューアルバム。



24. BRIAN SHINSEKAI / Entree

日本にあまりいないタイプ。トラックメーカーとして非常に優秀。
アルバム通してトラックはオシャレ。
でもオシャレなトラックだけではなく歌モノとしても非常にレベルが高い。クールさと情熱が内包された一作。



23. Brandon Coleman / Resistance

LAの音楽のみならず世界の音楽を引っ張るレーベルBrainfeederからBrandon Colemanの一作。鍵盤奏者としてあちこちに引っ張りだこの彼だが、ファンクなサウンドがとても気持ち良い。
流石はBrainfeeder所属のミュージシャンといったところで、単なるジャズのサウンドで終わらない引き出しの多さやジャンルの垣根を超えた音楽を生み出してくる。最高。



22. Tempalay / なんて素晴らしき世界

あぁ~!Tempalayの音ォ〜!!
完全にTempalayにしか出せない音ですよね。良質な音楽というのは正直なところ世の中に溢れている。だからこそその中で何にも似ていない、唯一無二であるというのは大きな強みだと思う。
世界に通用するんじゃないすかね。そんな可能性を感じさせる一作。



21. Blood Orange / Negro Swan

天才プロデューサーDav Hynesのソロプロジェクト。人種や性的なマイノリティ、それに付随する悲痛な記憶や経験、それでも失われることがない希望。
少し大人しめのアルバムだけれど質は最高級。



20. 羊文学 / 若者たちへ

シューゲイザーっぽいけどそこまで濃くないのでかなり聴きやすい。絶妙なバランス。
若者が送る若者たちへのメッセージ。今しか感じられない焦燥感や不安、眩しさが詰まったアルバム。



19. Jamie Isaac / (04:30) Idler

サウスロンドンのミュージシャンはみんな良いですね。King Kruleの同級生で親友のJamie Isaac
King Kruleほどの悲痛さ、苦しさは感じさせないものの南ロンドン特有の憂いと荒涼さはしっかりと詰まったチルアウトなアルバム。
若いけど音楽的素養の高さが見られる。



18. Georgia Anne Muldrow / Overload

こちらもBrainfeederから。
トラックメーカーでありシンガーのGeorgia Anne Maldowの3年ぶりのフルアルバム。形容しがたいビートとソウルフルな歌声が織りなすヤバい作品群。
Flying Lotusと一緒に仕事をすることになったのは必然だなと感じる。全ての枠組みを超えていく。



17. 中村佳穂 / AINOU

素晴らしいシンガーソングライター。日本の女性シンガーソングライターというとギターかピアノ弾き語りというイメージが多いですが、中村佳穂は全く別。
打ち込みを多用したビートミュージック的なトラックに伸びやかな声。
これからにも期待できる若い才能。



16. 挾間美帆 / ダンサー・イン・ノーホエア

ジャズとか普段あまり聴かないという人にこそ勧めたい。とにかくカッコ良い。清涼感と広がり。そして憂い。



15. Ryohu / Ten Twenty

アルバム、という形式ではなくあくまでもミックステープという位置付けの今作。
コンセプチュアルではない分、Ryohuらしい多様な音楽が詰まっていて最高にクール。Ryohuの現在地を示す楽曲群。おススメです。



14. The Internet / Hive Mind

全ての音が心地よい最高のファンク。メンバー全員若いけれども確かな技術を持っている。良質なサウンドにのるシドの美しい歌声が映える。
ただ前作が良すぎたせいか少し物足りない気もする。それでも十分すぎるほどの質だけど。



13. w.o.d. / webbing of duckling

グランジ。言ってしまえばNIRVANA的。最高でしょ。日本でこういう音を出せるバンドってなかなかないと思う。後乗りの重い音と私的な詞。爆音で聴きたい。



12. GLIM SPANKY / LOOKING FOR THE MAGIC

既発曲が多かった今作。けれどもアルバムという文脈にのるとまた聴こえ方が変わってくる。姿勢は変わらないままサイケなロックを鳴らし続ける彼らの最新の姿が全て詰まっている。
音の隙間を埋めないミドルテンポの重い音がカッコよすぎる。



11. Dorian Concept / Nature Of Limitation

おいBrainfeeder、どんだけ逸材を抱えているんだ。美しいメロディメーカー。
ライブのリハ動画がやばかった。1人多重録音で音楽が形成されていく。




10. St. Vincent / MassEducation

去年リリースしたMASSEDUCTIONをピアノVerとして2人だけで録音した作品。
MASSEDUCTIONは歪んだポップネス満載の作品だったが、それがアコースティックになることで輪郭がよりくっきりと浮かび上がる。
ギタリストとしても超一流の彼女だけど、ここまで素晴らしいギターレスのアルバムを作れてしまう。そういえばギターは武器の1つであってそこに固執することはないと何かのインタビューで言っていたような気がする。



9. 挫・人間 / OSジャンクション

僕たちの、私たちの挫・人間。心を開くということは傷つく勇気を持つことだ。
卑屈さとユーモア、そしてゼロ年代のインターネットの塊である彼らが心を開いた。
今までの挫・人間が持つ良さも詰まっているけれどより多くの人に届く一作になっているのではないかと思う。てか届け。
届かないのであれば世界はクソだ。届くのであれば世界が正しく機能している証拠となる。




8. Let's Eat Grandma / I'm All Ears

今年はフジロックにも出演したイギリスのティーン2人組ユニット。恐ろしい才能を
2人とも複数の楽器を演奏できるはず。そんでもって不穏な音、重い打ち込み、そこに合わさる綺麗で若さを感じさせる2人の声。
今作もかなり良いけど、これから先がさらに楽しみ。




7. IDLES / Joy as an Act of Resistance

パンクは死んでいない。血管が今にもはち切れんばかりの勢いでおっさんが歌ってる。響かない訳がない。エネルギーの塊。



6. Arctic Monkeys / Tranquility Base Hotel & Casino

年取りましたね。デビューが早かったからなのか余計にそう感じる。
とてもお洒落で落ち着いたアルバム。最初ギターどこ行ったのかと思ったけれど、それぞれの楽器が必要十分な仕事を全うして良い音楽を作ろうという心意気が見られる。
あとアクモンは地味にベースが良い。



5. Louis Cole / Time

はい、Brainfeederから。
エレクトロポップユニットKnowerとしても活動する才気あふれるミュージシャン。Knowerではかなりやりすぎで過剰な電子音だったけれど(そこが良いんだけど)、こちらは少し抑えめでバランスが良い。それでも過剰だけど(もちろん良い意味で)
ふざけているのか真面目なのか分からないけどやっていることはかなりガチ。ジャズドラマーとしての高度な技術とゲーム音楽に影響を受けたような電子音、それに美しいファルセット。もうヤバいとしか言いようがない。



4. Anderson .Paak / Oxnard

ドラマーとしてもシンガーとしてもラッパーとしても一流、Dr.Dreが見出した才能Anderson .Paak。
今作は割と評価が分かれているっぽい。ファンクやR&Bに密接したヒップホップ。いやヒップホップに密接したファンク?それくらいファンクサウンド
個人的にはめちゃくちゃ好み。アルバムとしてのまとまりもありつつ一曲一曲粒ぞろい。
ただし新しい音かと言われるとそんなことはないかな。
そこが今作の評価を分けた点だと思う。
それでも素晴らしい出来だけど。



3. Kamasi Washington / Heaven and Earth

新世代ジャズの先頭を走るKamasi Washingtonの最新作。隠しディスクも含め3枚(LPだと4枚+1の5枚)で計3時間を超える大作。
ストリートファイターからインスピレーションを受けた楽曲があったり、Brainfeeder周りのLAのミュージシャンはみんな日本のアニメやゲームにかなり影響を受けているっぽい。
様々な媒体で年間上位に食い込むことであろうアルバム。壮大な音のうねり、動と静の迫力が素晴らしい。最高。



1&2. カネコアヤノ / 祝祭 / 祝祭ひとりでに


今年のベストアルバムは文句なしにカネコアヤノの祝祭。"祝祭ひとりでに"は祝祭を全曲弾き語りで再録したもの。
力強くも柔らかい声がどこまでも飛んでいく。日常にありふれた景色をしっかりと捉えて幸せを見つけ出す行為。
世界は思ったよりも美しい。そして少し頑張ってみようかなと思わされる。
とにかく素晴らしい。